みなさんは、病気やケガで医療機関を受診した際に、領収書のほかに「明細書」と書かれた紙を受け取っていますか? また、その明細書をきちんと見たことがありますか?

明細書に書かれている専門用語や数字の意味がわからないからといって、ヤギのメイさんのように、読まずに捨ててしまってはいないでしょうか。

実はこの明細書には、私たちにとって大切な情報が書かれています。

動画で見てみよう

そもそも明細書ってなに?

明細書とは「診療明細書」や「調剤明細書」といった名前の書類です。初診・再診料、処置名、薬剤名、検査名などが、単価・数量とともに記載されています。

保険医療機関と保険薬局には、この明細書の発行が義務付けられています。通院や入院時、薬局で処方薬を受け取った時、クリニックや歯医者でも、原則として会計時に患者へ無料で明細書を渡すことが義務付けられています。

診療明細書のサンプル

領収書と一緒に必ず受け取り
内容を確認・保存しましょう

明細書があれば…診断の役に立つ

過去の診療歴や服薬歴は、医師の判断の際に非常に役立つ情報です。医師からの問診を受けた際には、現在の症状と合わせて、過去に受けた診療や服薬歴についても説明することが大切です。

「明細書」があれば、患者が説明しやすくなるだけでなく、医師に正しい情報を伝えることもできます。

例えば、医師が過去の情報を正確に知ることで「治ったと思っていた病気が実は完治していなかった」「薬の副作用による影響だった」という判断もしやすくなり、患者にとって最適な医療を受けられる可能性が高まります。

明細書があれば… 医療費が分かる

厚生労働省の調査によると、保険医療機関による不正請求は毎年、多数発覚しています。

不正請求の例

付増請求…行っていない処置や検査を上乗せして請求すること

振替請求…実際より高い点数の診療を行ったとすること

二重請求…自費診療としながら保険請求を併せて行うこと

これらの不正により、毎年巨額の返還金が発生し、保険医療機関の指定取消や、保険医の登録取消も生じています。「明細書」をよく読み、患者が厳しい目を持つことで、不正請求を減らしていくことが大切です。

明細書があれば… 医療内容や単価が分かる

明細書を見ると、自分が受けた診療がどのような処置や検査、投薬だったのかがわかります。専門用語が難しい場合は、内容をインターネットで検索し、調べてみましょう。

明細書を確認する習慣をつけることで、「自分の望む医療が受けられているか」「診療内容を把握したうえで、次の治療方針を納得して決めたい」など、患者自身の医療に対する主体性や治療への参加意識が高まります。医師任せにしないことは、自分が望む治療法の選択につながるのです。

また、明細書に書かれている「点数」は、医療費の単価を表しています。単価は1点10円で計算し、患者はその1割~3割を窓口で負担します。明細書を見ることで、どの治療がいくらかかるのかという内訳を知ることができます。

納得できる?医療費の単価

医療費の単価は2年ごとに決定します。保険料や窓口で医療費を負担している私たち=労使と保険者、医療関係者、公益委員が話し合って決めています。つまり、医療保険制度は国民全体で考え、支えていくものなのです。

私たち患者の求める医療を実現するために、私たち自身も医療について関心と知識を高め、発言力を高めていく必要があります。

明細書を確認してみよう

明細書を受け取ったら、どこを確認すれば良いのでしょうか。

下記を参照に、目を通してみましょう。

名前と受診日

間違っていないか確認しましょう。

項目名

自分の受けた診療内容や検査、投薬などと照らし合わせてみましょう。

※回数の欄も目を通し、処置等の回数が正しいかを確認しましょう。

点数

項目別に診療報酬点数とその算定要件が決まっています。点数表はインターネットで検索できるため、最新版を確認しましょう。

明細書の保管は一生涯!

あなたはどんな医療を受けたいですか?

自分や家族の明細書を蓄積すれば「診療記録」になります。

例えば後から薬の副作用情報が発表された時にも、自分がその薬品を使っていたのかどうか、さかのぼって確認できます。万が一、医療事故や薬害の被害者になってしまった際の証拠にもなりえるのです。

医療機関を受診した際は、

明細書の確認と保管をしてくださいね!

医療機関を受診した際は、

明細書の確認と保管を
してくださいね!